記憶トレーニング
記憶トレーニング
記憶術の主な技法
記憶術には,ギリシャ,ローマの時代から受け継がれているものと,その後それぞれの時代に開発されたものや,わが国において独白に開発されたものまでさまざまなものがあり,記憶術ないし記憶技法の主なものとしては,①連鎖法(連想結合法,リンク・システム),②かけくぎ法(基礎結合法,ペグ法),③音声変換法,④場所法,⑤頭文字法,⑥ SQ3R法ないしPQRST法,⑦キーワード式高速読解・速読法,などがあります.
そのなかで,連鎖法は記憶術のシステムのなかで最も初歩的なものであると同時に最も基本的な技法といえます.一連の事項を順番に記憶する場合に適しています.
連鎖法の例
例として次の10単語を覚えてみましょう
父親・背広・指輪・富士山・飛行機・時計・すいか・こうもり傘・ソーセージ・自転車
これらを2つずつ、イメージにして頭に浮かべます。
父親と背広は、このような絵です
次に、背広と指輪は、このような絵です
このようにして順番に絵を頭の中にしっかりイメージを作って記憶するのです。
イメージをしっかり記憶したら、イメージをめくりながら,言葉を順番に言ってみましょう。
すると、10個の単語を順番に言うことが容易に出来ます。
トレーニングでは「連鎖法」からはじめて「かけくぎ法」へ、更に応用へと訓練を進めます。
記憶トレーニングで学ぶこと
記憶トレーニングでは「イメージ作成」を重視しながら学んでいきます。その目的と意味について紹介します。
<記憶トレーニングの目的は>
・記憶課題を楽しみながら、柔軟なイメージ力を高め、課題に挑戦し、集中力、達成感、自信を養うことです。
脳(前頭前野)活動の柔軟な活性化を図り、意志・意欲・自信へと導き、学習力を一段と高めます
<記憶トレーニングで用いられる学習原理(心理学)は次のようなことです>
(1) 有意味化(意味の高い材料に変換できる) → 創造性・創意工夫が生まれる
(2) 組織化(有効なシステマティックな方法を使う) → 学習力・考える力
(3) 連想(すでに記憶されている材料と学習したいと思う新しい材料とを連想で結合する) → 思考の想像性・創造性
(4) 視覚化(視覚的イメージをつくる) → 柔軟性・創造性を養う
(5) 注意(「注意」は効果的記憶にとって重要) → 注意集中力を養う
(6) 興味(興味のあることには注意が向けられ,学習される)→ ものの見方の柔軟性・興味関心を広げる
(7) フィードバック
① 学習の結果を知ることによって,興味を持続することができる
② 誤った部分を修正しようとする努力を喚起することができる
→ 学習力の向上・自信(有能感・効力感)につながる
以上のように、記憶トレーニングは「脳」の活性化を果たしているのです。